さら)” の例文
それで住民は何を食物くいものにしているかというと、栃の実を食べている。栃の実を取って一種の製法で水にさらして灰汁あくを抜き餅に作って食用にしている。
へどろの赭土あかつちさらして、洒し尽して何の濁りも立てずに、浅く走つて行く水は、時々ものにかれて、ぎらりぎらりとがらになくひらめいたり、さうかと思ふと縮緬ちりめんしわのやうに繊細に
よくさらされた麻布が擦り合うような音の底に生絹をみ合わすような音もかすかに聞えます。それを何の雑作もなく踏みにじり踏み躙りして行くことは、とても贅沢で勿体ない気がいたします。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
私は一案を工風くふうし、も虱を殺すに熱湯を用うるは洗濯婆せんたくばばあの旧筆法で面白くない、乃公おれが一発で殺して見せようと云て、厳冬の霜夜しもよ襦袢じゅばん物干ものほしさらして虱の親も玉子も一時に枯らしたことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)