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泡立
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あはだ
泡立つ
波、
逆卷く
潮、
一時は
狂瀾千尋の
底に
卷込まれたが、
稍暫して
再び
海面に
浮上つた
時は
黒暗々たる
波上には六千四百
噸の
弦月丸は
影も
形もなく
第三の世界は燦として春の如く
盪いてゐる。電燈がある。
銀匙がある。歓声がある。
笑語がある。
泡立つ
三鞭の
盃がある。さうして凡ての
上の
冠として美くしい女性がある。
同時に
滊角短聲三發、
蒸滊機關の
響ハッタと
更まつて、
逆に
廻旋する
推進螺旋の
邊、
泡立つ
波は
飛雪の
如く、
本船忽ち二十
米突——三十
米突も
後退したと
思つたが、
此時すでに
遲かつた