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此處
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このところ
領主
其書面見ようわ。これへ。……して、
夜番を
呼起した
伯の
侍童とやらは
何處に
居る?……こりや、
其方の
主人は
此處へは
何しにわせたぞ?
設けたり引れて
此處へ
着座すれば左右には常樂院
天忠山内赤川藤井等の面々
威儀を
正して座を
占たり
爰に
長門國阿武郡萩は江戸より
路程二百七十里三十六萬五千
石毛利家の城下にて
殊に
賑はしき土地なり
其傍らに
淵瀬といふ處あり
昔此處に
萩の長者といふありしが
幾世を
讀上る時大岡殿お梅に
向はれ其方主人へ
暇を願へども
出さず
其上度々不義申
掛しを
夫有身なれば隨はざるにより刄を以て
威すゆゑ願ふと
有共今此處へ粂之進を
呼出し此事を