欄干おばしま)” の例文
きざはしを上がりきらぬ所に薫がすわると、宮はもっと上にともお言いにならず、御自身も欄干おばしまによりかかって話をおかわしになるのであった。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私はいつか千代子と行き会ったかの橋の欄干おばしまって、冬枯れの曠野ひろのにションボリと孤独ひとりみ寂寥さみしさを心ゆくまでに味わうことも幾たびかであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
仕方なく今度は縁先にしとねを持ち運んで、席を変えてみました。欄干おばしまに凭れて、膝を崩してみると気持まで砕けて和やかになりました。欄干の下は池です。
むかでの跫音 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
青海せいかいの簾高く捲き上げて、前に廣庭を眺むる大弘間、咲きも殘らず散りもはじめず、欄干おばしま近く雲かとまがふ滿朶の櫻、今を盛りに匂ふさまに、月さへかゝりて夢の如きまどかなる影、朧に照り渡りて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
想へば恵まれたるながめなるかな、ただ要時しばし、中空にかかりぬべき虹の橋は、やがて常住の影をここにあらはすがごとし、そのかがやく欄干おばしまりて、わが霊魂たましひは無限の歓喜を受けたりき。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
橡色つるばみいろ直衣のうしに、烏帽子えぼしをつけた笑顔が、欄干おばしまの彼女を見あげて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御袖みそでくくりかへりますかの薄闇うすやみ欄干おばしま夏の加茂川の神
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
欄干おばしまにさへ記せし名なり。
高楼たかどの欄干おばしまには姫が一人
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
見よ影深き欄干おばしま
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
跡には春の夜の朧月、殘り惜げに欄干おばしまほとり蛉跰さすらふも長閑のどけしや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
欄干おばしまにさへ記せし名なり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
欄干おばしまを、などやさながら
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
高殿の欄干おばしまには姫が一人
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
玉のうてな欄干おばしま
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
光みがける欄干おばしま
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
玉のうてな欄干おばしま
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)