極力きょくりょく)” の例文
フィルムのことは意外にも、深山理学士の室から奪ったものだと告白したが、事務室から千二百円の大金を盗んだことは極力きょくりょく否定した。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すでにすべからざるを知るといえども、つかうるところのそんせんかぎりは一日も政府の任をくさざるべからずとて極力きょくりょく計画けいかくしたるところ少なからず
かくの如き日本の婦女日常の動作を描かんとするや筆力を主とする簡勁かんけいなる手法にのみ拠るべきものならず、極力きょくりょく実地の写生に基き各種の動作に伴ふ見馴みなれたる手付てつき姿勢態度を研究せざるべからず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
博士はロロー殿下がそういう儀礼ぎれいをこのまれないといって、極力きょくりょくこれをことわったけれど、学者たちはなかなかいうことを聞かなかった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は醜い顔ゆえに、極力きょくりょく人目をさけながらも、碇の行方を探し、そして遂に探しあてて彼の身辺を狙うようになったんだ。
断層顔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
気分を害するようなことは極力きょくりょくさけ、そしてすこしでも人間の気分をよくして生活を楽しませるように都市施設しせつや居住施設が工夫せられている。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
正金銀行へ移したことは極力きょくりょく秘密さ。そう放送すれば岩は諦めるだろうと思ったのだ。……俺はも少しでマンマと百万弗を握りそこなうところだった。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
犯人はいまだ不明であるが、多分同人をうらんでいた者の復仇ふっきゅうらしい見込みである。警視庁では同人を連れ去った自動車と運転手を極力きょくりょく厳探中げんたんちゅうである云々
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし彼は自分の昂奮を極力きょくりょく他人に知られたくないようすであった。とにかく、そのとき以来、伯爵は急にじょうきげんにかわったことはたしかであった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今回省線しょうせん電車内に起りたる殺人事件は、本職を始め警視庁を愚弄ぐろうすることのはなはだしきものにして、爾来じらい極力きょくりょく探索たんさくの結果、此程このほどようやく犯人の目星めぼしつかむことを得たるを以て
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
異変があるとすれば、極力きょくりょくしっかり気をおちつけて、そこを切りぬける工夫をしなければならないのだ。そう思った事務長は、声をはげまして、機関長シリンをしかりつけた。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
山木はそういって、両手で自分の眼をおおった。河合は同情して、友を極力きょくりょくはげました。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いつでも博士は、人類と海底超人との間に衝突の起こることを極力きょくりょくきらった。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
君は興奮しないように極力きょくりょく気をつけたまえ。君がこの際、興奮して、頭がカーッとしてしまうと、えらいことになってしまうからね。昔の言葉でいうなら、それは君が自爆じばくするようなものだ。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わしは、出直してくるよ。それから、わしの国の首脳部の者共ものどもへも、地球を再認識するよう、極力きょくりょく説いてまわるつもりだ。やあ、黒馬博士、それでは君の友情を感謝して、さよならを告げるぞ
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
総指揮官は、極力きょくりょく腹の虫を殺して、春の海のようにおだやかに云った。