東枕ひがしまくら)” の例文
東枕ひがしまくらしろきれに、ほぐしたおぐし真黒まつくろなのがれたやうにこぼれてて、むかふの西向にしむきかべに、衣桁いかうてゝあります。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつも東枕ひがしまくらで寝る私が、その晩に限って、偶然西枕にとこを敷いたのも、何かの因縁いんねんかも知れません。私は枕元から吹き込む寒い風でふと眼を覚ましたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
東枕ひがしまくらでしょう。この方角が南だから。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
東枕ひがしまくらも、西枕にしまくらも、まくらしたまゝ何處どこをさしてくのであらう。汽車案内きしやあんない細字さいじを、しかめづらすかすと、わかつた——遙々はる/″\きやう大阪おほさか神戸かうべとほる……越前ゑちぜんではない、備前國びぜんのくに糸崎いとざきである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)