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末梢
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まっしょう
ふりがな文庫
“
末梢
(
まっしょう
)” の例文
それ以後の百星に至っては、おのおの独自の美を
創
(
つく
)
り出していて歴代の壮観ではあるが、それぞれ少しずつ
末梢
(
まっしょう
)
的なものを持っている。
書について
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
夕暮れに海上に点々と浮かんだ小船を見渡すのは悲しいものだ。そこには人間の生活がそのはかない
末梢
(
まっしょう
)
をさびしくさらしているのだ。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ところが桜が咲く時分になるとこの血液がからだの外郭と
末梢
(
まっしょう
)
のほうへ出払ってしまって、急に頭の中が
萎縮
(
いしゅく
)
してしまうような気がする。
春六題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
芝居じみた
一刹那
(
いっせつな
)
が彼の予感を
微
(
かす
)
かに
揺
(
ゆす
)
ぶった時、彼の神経の
末梢
(
まっしょう
)
は、眼に見えない風に
弄
(
なぶ
)
られる細い小枝のように
顫動
(
せんどう
)
した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
非常時も、このごろのように諸般の社会相が、統制の
厳
(
きび
)
しさ細かさを生活の
末梢
(
まっしょう
)
にまで反映して、芸者屋も今までの
暢気
(
のんき
)
さではいられなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
心が静まるにつれて、麻痺していた
末梢
(
まっしょう
)
の神経が働き始めた。そして、まず鼻をうつのは、ほのかな屍臭であった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「由来の根がどこまで深いかは存じません、事実は由来の根でなく
末梢
(
まっしょう
)
の
齟齬
(
そご
)
するところにあると思いますが」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
末梢
(
まっしょう
)
にかまっていては、政治はできぬ。要は、
根本
(
こんぽん
)
の君とおはなし合いをすすめるにある。そちのような
覇力
(
はりょく
)
一方をもって臨んでは、せっかくな和議も無意義。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あらゆる
末梢
(
まっしょう
)
的な事を大きくネツゾウして、お上さん達は口々に何かつぶやいているのだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
口を
揃
(
そろ
)
えて
嘖々
(
さくさく
)
称讃したが、
渠
(
かれ
)
らの称讃は皆見当違いあるいは枝葉
末梢
(
まっしょう
)
であって
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
たまたま背後の支配霊達が、
何等
(
なんら
)
かの通信を行うことはありても、その内容は通例
末梢
(
まっしょう
)
的の
些事
(
さじ
)
にとどまり、時とすれば取るに足らぬ
囈語
(
げいご
)
やら、とり止めのない
出鱈目
(
でたらめ
)
やらでさえもある。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
鎌倉時代の面は創造力の弱さを暴露した作品であって、そこにはただ生命の実感と縁の少ない誇張のみがある。それは重心が
末梢
(
まっしょう
)
神経へ移ったような病的な生活の反映であるといってよい。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
つまり名を捨てて実を取る、名を捨てることによって時代の人心を緩和する、実を取ることによって、やっぱり徳川家が組織の主班である、多少、
末梢
(
まっしょう
)
のところには動揺転換はあるにしても
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
波の音も星のまたたきも、夢の中の出来事のように、君の知覚の遠い遠い
末梢
(
まっしょう
)
に、感ぜられるともなく感ぜられるばかりだった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
もちろん
末梢
(
まっしょう
)
神経の打算なら、近代の人のほとんどすべてがそれを持っていた。庸三もそれに苦しんでいる一人であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分のからだじゅうの血液ははじめてどこにも停滞する事なしに毛細管の
末梢
(
まっしょう
)
までも自由に循環する。たぶんそのためであろう、脳のほうが軽い貧血を起こして頭が少しぼんやりする。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
仏像の彫刻がただ形式の踏襲に終始し、ただ工人的
末梢
(
まっしょう
)
技巧のめまぐるしい累積となり終った時、此の新興芸術たる物まねの生命たる仮面の製作には実に驚くべき斬新の美が創り出された。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
そのくせ目は妙にさえて目の前に見る天井板の細かい
木理
(
もくめ
)
までが動いて走るようにながめられた。神経の
末梢
(
まっしょう
)
が大風にあったようにざわざわと小気味わるく騒ぎ立った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
有機体ではいかなる
末梢
(
まっしょう
)
といえども中枢機関と有機的に連関しているので、末梢の変化から根原の変化を推測することのできる場合も少なくないはずである。末梢的と言ってもうっかり見過ごせない。
破片
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
神経の
末梢
(
まっしょう
)
が、まるで大風にあったこずえのようにざわざわと音がするかとさえ思われた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そのびりびりと神経の
末梢
(
まっしょう
)
に答えて来る感覚のためにからだじゅうに一種の陶酔を感ずるようにさえ思った。「もっとお打ちなさい」といってやりたかったけれども声は出なかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“末梢”の意味
《名詞》
末 梢(まっしょう)
木の枝の先端。
枝分かれした先の位置。
必須ではないこと。些細なこと。
(出典:Wiktionary)
“末梢”の解説
抹消
末梢(まっしょう)
(出典:Wikipedia)
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
梢
漢検準1級
部首:⽊
11画
“末梢”で始まる語句
末梢的
末梢頭
末梢神経