木皿きざら)” の例文
信長はまた健啖けんたんだった。茶室でも一通り満腹したろうに、広間へ移ってからも、彼の前に供えられる木皿きざら高坏たかつきはみなからになってゆく。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからおなものをもうひと主人しゆじんまへいて、一口ひとくちもものをはずに退がつた。木皿きざらうへには護謨毬ごむまりほどなおほきな田舍饅頭ゐなかまんぢゆうひとせてあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
った浅い木皿きざらだとか、「はきたて」と呼んでいる羽根帚はねぼうきなどは、茶人でも好みそうな品であります。この町で売る長帚ながぼうきも特色ある形で他に見かけません。有名な鹿沼帚かぬまぼうきなどと全く違う形を有ちます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
其所そこ下女げぢよが三じやくせま入口いりぐちけて這入はいつてたが、あらためて宗助そうすけ鄭重ていちよう御辭儀おじぎをしたうへ木皿きざらやう菓子皿くわしざらやうなものを、ひとまへいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)