朝暮ちょうぼ)” の例文
わしは、朝暮ちょうぼに、御座みざちかく奉仕ほうししているので、まのあたりにそのおんなやみをみて、なみだのたえぬくらいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
碧梧桐君の令兄の竹村黄塔こうとう君は師範学校の教授をしてこの地に在住してるので朝暮ちょうぼ病室に居士を見舞った。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
御本尊様の前の朝暮ちょうぼ看経かんきんには草臥くたびれかこたれながら、大黒だいこくそばに下らぬ雑談ぞうだんには夜のふくるをもいとい玉わざるにても知るべしと、評せしは両親を寺参りさせおき、鬼の留守に洗濯する命じゃ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
名木をきこめてあるのも、客のために今にわかに焚いたのではなく、朝暮ちょうぼに、ここをきよめ、これへ神酒みきを捧げる時のものが、いつかふすまにも壁にもみているのであろう。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先頃からご容態を拝察するに、朝暮ちょうぼのお食慾もなく、日々お顔のいろも冴えず、わけてご睡眠中のおうめきを聞くと、よほどなご苦痛にあらずやと恐察いたしておりまする。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また朝暮ちょうぼ、禁門をまもる近衛府とともに、みかどの、もっとも信頼に足る武将でもなければならない。そのひとは誰か。人々は注目したろう。ほかならぬ、新田右衛門佐うえもんのすけ義貞だった。
それからの一年間、かれは相変らずな素行のあいだにも、朝暮ちょうぼ、何千遍、何万遍
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その越前を、朝暮ちょうぼに、胸にうかべながら、ここ数ヵ月は、令をもって、招きもできない事情であった。かれが、痛心を深めたのは、越前の為というよりは、彼自身のためでもあった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おおそうしよう。さてさて、人生の朝暮ちょうぼ、なにが起るか知れんものだな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なおそのあいだに新朝廷の補佐ほさたちへも、それとなく諒解をえておきますれば、板屋の御座ぎょざへ、火桶ひおけを入れることや、朝暮ちょうぼのお給仕をもっと良くするぐらいなこと、計らえぬはずはありますまい
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「と、思いはしますが、聞くところに依ると、佐々木巌流というものは、さすがに稀れな天才らしゅうございます。殊に、細川家に召抱えられてからは、朝暮ちょうぼの自戒鍛錬たんれんは一通りでないとも聞き及びました」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)