われ)” の例文
雅仁まさひとわれ一二五つらかりしほどはつひむくふべきぞと、御声いやましに恐ろしく聞えけり。西行いふ。
あしひきのやまきしかば山人やまびとわれしめしやまづとぞこれ 〔巻二十・四二九三〕 元正天皇
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
われ西のかた、宝の国を求めむとおぼす、もしことならば川の魚つりくへ。」とみたまへる御声の朗かなるを、水脈みをしろく漲り落つる瀬のおとの高きがうちに聴くがごとき心地す。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
妄執を生命としてわれは活き、煩悩と云はば云へ、煩悩を筋骨として朕は立つ、おろかや汝、四弘誓願しぐせいぐわんは菩薩の妄執、五時説教は仏陀の煩悩、法蔵が妄執四十八願、観音が煩悩三十三じん
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今、われ汝の人とりをみるに、身体むくろ長大たかく容貌かほ端正きらきらし、力能くかなへぐ、猛きこと雷電いかづちの如く、向ふ所かたきなく、攻むる所必ず勝つ。即ち知る、形は則ち我が子にて、実は即ち神人かみなり。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
汝、六五家を出でてほとけいんし、六六未来みらい解脱げだつの利慾を願ふ心より、六七人道にんだうをもて因果いんぐわに引き入れ、六八堯舜げうしゆんのをしへを釈門しやくもんこんじてわれに説くやと、御声あららかにらせ給ふ。
徃時むかしは人朕が光明ひかりを奪ひて、われ泥犂ないりの闇に陥しぬ、今は朕人を涙に沈ましめて、朕が冷笑あざわらひの一声の響の下に葬らんとす、おもひ観よ汝、漸く見ゆる世の乱は誰が為すこととぞ汝はおもふ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
体仁早世さうせいましては、皇子みこ五四重仁しげひとこそ国しらすべきものをと、われも人も思ひをりしに、五五美福門院びふくもんゐんねたみ五六さへられて、四の宮の五七雅仁まさひとうばはれしは深きうらみにあらずや。
仏に五百の弟子あらばわれにも六天八部の属あり、三世の諸仏菩薩のともがら、何の力か世にあるべき、たゞ徒に人の舌より人の耳へと飛び移り、またいたづらに耳より舌へと現はれ出でゝ遊行するのみ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)