かか)” の例文
かかれているが、私はそれを多少仏体に似た岩を偶然発見したものと見做みなして、どうも此岩を古く見た人がある為に伝説が生じたとは信じ兼ねるのである。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
信吾は心に、ういふ連想からか、かの「恋ざめ」にかかれてある事実こと——いなあれを書く時の作者の心持、否、あれを読んだ時の信吾自身の心持を思出してゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
これが罪になって地獄の鉄札てっさつにでもかかれはせぬかと、今朝けさも仏様に朝茶あげる時懺悔ざんげしましたから、爺が勧めて爺がせというは黐竿もちざお握らせて殺生せっしょうを禁ずるような者で真に云憎いいにくき意見なれど
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
又それが連帯債務と言ふだらうけれど、一文だつて自分がつかつたのでもないのに、この間九十円といふものを取られた上に、又改めて五百円の証書をかかされる! あんまり馬鹿々々しくて話にならん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『誠』とかかれてあつた