日差ひざし)” の例文
見ると日はもうかたぶきかけている。初夏しょか日永ひながの頃だから、日差ひざしから判断して見ると、まだ四時過ぎ、おそらく五時にはなるまい。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はちえず三にん存在そんざい警戒けいかいしながらも、一しんに、敏活びんくわつはたらいた。あたまつち突進とつしんする。あしさかんつちをはねのける。それはしづかしたあかるいあき日差ひざしなかなみだあつくなるやうな努力どりよくえた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
をまんじりともしなかったおせんは、ちゃあじもいつものようにさわやかでなく、まだ小半時こはんときはやい、けたばかりの日差ひざしなか駕籠かごられながら、白壁町しろかべちょう春信はるのぶもとおとずれたのであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
翌日あくるひもまたき通るような日差ひざしを眼に受けて、晴々はればれしい空気を篏硝子はめガラスの外に眺めた彼の耳には、隣りの洗濯屋で例の通りごしごし云わす音が、どことなしに秋の情趣をそそった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)