こく)” の例文
「魏延! 野望を持つもいいが、身の程をはかって持て。一斗のかめへ百こくの水を容れようと考える男があれば、それは馬鹿者だろう」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八箇国を一月ばかりに切従へられて、七こくの芥子を一七日に焚いたなぞは、帯紐のゆるみ加減も随分太甚はなはだしい。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
名香めいこうこく、宝剣一そう、婦女三十人、その婦女はみな絶世の美女で、久しいものは十年もとどまっている。容色おとろえた者はどこへか連れて行かれて、どうなってしまうか判らない。
夫婦に小児一人の飯米三こく五斗四升、この代銀三百五十四匁、店賃たなちん百弐拾匁、塩、醤油、味噌、油、薪炭代銀七百目(一日銀一匁九分余)、道具家具の代百二十匁、衣服の価百二十目
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
だんだん腹這はらばいにぐにゃぐにゃと首を伸ばして、ずるずると鰯の山を吸込むと、五こく、十斛、瞬く間に、満ちみちた鰯が消えて、浜の小雨は貝殻をたたいて、暗い月が砂に映ったのです。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むかし、畢卓ひつたくはどうかして上酒数百こくをわが物として舟に積込み、左手に杯を、右手に蟹の大爪を持つて、飲みかつ食ひながら生涯を送ることができたなら、こんな幸福はあるまいといつた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
今は他行中であるから帰らないうちに早く往くがよい、もし鬼神を斃そうと思えば、美酒びしゅこく、犬十頭、麻数十斤を用意してくるがよい、そして、重ねてくる時は、午後にくるがよい、それも
美女を盗む鬼神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
全身に百こくの冷水を浴びせられるような気がする。
で、荊州けいしゅう劉表りゅうひょうへ使いをやって、兵糧米二万こくの借用を申しこむと、劉表からもていよく断られてしまった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また日雇の扶持ふち麦一斛八斗米五斗を引き、正月餅などの米三斗余と種穀たねもみこくを引き、また子女あればその食料一人に九斗ばかりとつもり、また親属故旧こきゅうの会食二斗を引けば、米七斛二斗を残す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
一つの酒瓶が他の酒瓶に当ったので、瓶は腹を破って、一こくの酒がそこに噴き出した。侯成は全身に酒を浴び、強烈な香気は、呂布の怒りをなお甚だしくさせた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍隊も「食」に奔命ほんめいしなければならない。しかも山東の国々ではその年、いなごの災厄のため、物価は暴騰に暴騰をたどって、米一こくあたいは銭百貫を出しても、なかなか手に入らなかった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一日八十こく
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)