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撓
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たわわ
ふりがな文庫
“
撓
(
たわわ
)” の例文
西明寺を志して来る途中、一処、道端の低い
畝
(
あぜ
)
に、
一叢
(
ひとむら
)
の
緋牡丹
(
ひぼたん
)
が、薄曇る日に燃ゆるがごとく、二輪咲いて、枝の
莟
(
つぼみ
)
の、
撓
(
たわわ
)
なのを見た。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
というのは、そのすくすくと伸びた栗の木の枝には、なんと五寸釘のような
棘
(
とげ
)
をもったお祭り提灯のような巨大な
毬
(
いが
)
が、枝も
撓
(
たわわ
)
に成っているのである。
火星の魔術師
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
湿気を含んだ冷たい風が壇の四隅の笹竹を
撓
(
たわわ
)
にゆすって、暗い空の上から大粒の雨がつぶてのように落ちてきた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
乱れて咲いた欄干の
撓
(
たわわ
)
な枝と、初咲のまま
萎
(
しお
)
れんとする葉がくれの一輪を、
上下
(
うえした
)
に、中の青柳は雨を含んで、霞んだ
袂
(
たもと
)
を扇に伏せた。——
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お葉は更に
起
(
た
)
って
縁先
(
えんさき
)
に出た。左の手には
懐紙
(
ふところがみ
)
を拡げて、右の
腕
(
かいな
)
も
露出
(
あらわ
)
に松の
下枝
(
したえだ
)
を払うと、枝も
撓
(
たわわ
)
に
積
(
つも
)
った雪の塊は、綿を丸めたようにほろほろと落ちて砕けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
あの、その上を、ただ
一条
(
ひとすじ
)
、霞のような
御裳
(
おすそ
)
でも、
撓
(
たわわ
)
に揺れる
一枝
(
ひとえだ
)
の桂をたよりになさる
危
(
あぶな
)
さ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
階
(
きざはし
)
の前に、
八重桜
(
やえざくら
)
が枝も
撓
(
たわわ
)
に咲きつつ、かつ芝生に散って敷いたようであった。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
撓
漢検1級
部首:⼿
15画
“撓”を含む語句
撓々
不撓
可撓性
撓曲
蝋質撓拗性
不撓不屈
不屈不撓
屈撓性
百折不撓
軟撓
豪胆不撓
袋撓刀
蝋質撓拗症
背撓馬
撓舟
撓直
撓柔
撓枉過中
撓屈
撓垂
...