ゆう)” の例文
その市の姫十二人、御殿の正面にゆうしてづれば、神官、威儀正しく彼処かしこにあり。土器かわらけ神酒みき、結び昆布。やがて檜扇ひおうぎを授けらる。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ながく感慨にふけったりすることは彼の性質ではないとみえ、すぐにその小さな立札を枯れ草の中に突き立てると、それに対してにやっと笑いながら一ゆうした。
花咲かぬリラ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
彼はこういいながら一ゆうすると私を促すので、私も高橋警部と林田にあいさつしながら、部屋を出た。
殺人鬼 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
私は王氏の顔を見ると、ゆうもすますかすまさない内に、思わず笑いだしてしまいました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
老婦人は乳母か、家庭教師か、二人は軽く一ゆうして廊下の外に姿を消してしまった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
彼は孔子の声に応じて立上ると、子貢のすぐそばまで歩いて来て、孔子に一ゆうした。その姿は青蘆が風にそよいでいるように思われた。孔子は彼にじっと視線をそそぎながら云った。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
すると槍の武士が一ゆうした。「本郷お茶の水に道場を持つ、丸橋忠弥盛幸まるばしちゅうやもりゆきでござる」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ゆうしながらくるりとうしろを向くと、ぴたり襖をしめきりました。
そして一ゆうしながら、改めて、藤左衛門と、三平の二人へ向って
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と一ゆう
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
かよは万三郎に向って一ゆうした。休之助にはもちろん、他の誰にも眼は向けなかった。そうして石黒半兵衛がなにか抗議しようとするのを見ると、手を振って云った。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「何様それじゃ、昨日きのうから、時々黒雲のくように、我等の身体を包みました。婆というは、何ものでござるじゃろう。」と、廉平はゆうしながら、手をかざして仰いで言った。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
老師を見ると恭しく、一斉に一ゆうしたものである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、彼は玉階のほうへ、身を一ゆうして。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八郎と彦七とは一ゆうし、小山を巡って姿を消した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鬼王丸は下座に着きまずうやうやしく一ゆうしたが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、相模は一ゆうしたが
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、大弥太は一ゆう
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)