排列はいれつ)” の例文
もちろん各楽章の排列はいれつは転倒し、また変形しているとはいえ、二つの主題がかわがわるに起伏出没していることまで、何とソナータの形式に似通っていることであろう。
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
されどその句を見るにいたずらに多きをむさぼる者の如く平凡陳腐の句も剽窃ひょうせつの句もかまはずやたらに排列はいれつせられたるはやや厭はしく感じ申候。また一題百句など数多あまた寄せらるる人も有之候。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
中津へ移住する江戸の定府藩士は妻子と共に大都会の軽便流を田舎藩地の中心に排列はいれつするのいきおいなれば、すでに惰弱だじゃくなる田舎いなかの士族は、あたかもこれに眩惑げんわくして、ますます華美かび軽薄けいはくの風に移り
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
複雑な健の毎日の言葉をどのように頭の中で排列はいれつしているのだろうか。
赤いステッキ (新字新仮名) / 壺井栄(著)
カキツバタは水辺、ならびに湿地しっち宿根草しゅっこんそうで、この属中一番鮮美せんびな紫花を開くものである。葉は叢生そうせいし、鮮緑色せんりょくしょくはば広く、扇形せんけい排列はいれつしている。初夏しょかこう葉中ようちゅうからくきいて茎梢けいしょうに花をける。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
自然科学の研究なども、プレパラートと見取り図とを作ることに彼は不器用だったが、それさえ除けば、あまり分りきった事実の排列はいれつにすぎなかった。応用農学は学というべきものではなかった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
これらの歌多くは事に逢ふて率爾そつじに作りし者なるべく文字の排列はいれつなどには注意せざりしがために歌としては善きも悪きもあれどとにかく天真爛漫てんしんらんまんなる処に元義の人物性情は躍如やくじょとしてあらはれ居るを
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)