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持行
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もちゆき
持行見せければ利兵衞の妻は見覺えのあるお
菊が
簪しなる
故大に
驚き夫利兵衞に
斯と
告げしに利兵衞も是を
宿へ
持行身輕に成る入用に遣はし殘りの三兩は我等
預り居て
頓て夫婦になる時
帶にても又何にても其の方の好みの品を
拵へる
足にせば便利成べしと云れ
生得愚なるお兼故是を
憎みけるが或時
給金三兩を
田舍へ
遣はさんとて
手紙に
封じ
瀬戸物町の島屋へ
持行し
途中橋向ふにて
晝抅盜に
奪はれ
忙然として
立歸りしが
那の
金を取れては
又一年
餘の
奉公を爲ねばならぬと力を