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抛
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なげ
ふりがな文庫
“
抛
(
なげ
)” の例文
如何にも
其様
(
そん
)
な悪びれた小汚い物を暫時にせよ
被
(
き
)
ていたのが
癇
(
かん
)
に触るので、其物に感謝の代りに怒喝を加えて
抛
(
なげ
)
棄
(
す
)
てて気を
宜
(
よ
)
くしたのであろう。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
猫頭巾——
抛
(
なげ
)
頭巾のいずれでもなく、まして女性の専用とした
突盔
(
とっぱい
)
頭巾のいずれでもなく、近代形の
韮山
(
にらやま
)
頭巾でもない。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
藤吉郎も、聴けば
限
(
き
)
りない用務に飽いたらしい。きょうは家臣達へそういって一切を
抛
(
なげ
)
やった姿である。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如何なる場合もこの目的のために一命を
抛
(
なげ
)
うって努力すること、このスパイたることは、絶対に他人に
洩
(
も
)
らしてはならぬのみか、同志であるものを発見したときと
雖
(
いえど
)
も
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分は晋太郎の養育になにもかもうち込もう、あらゆるものを
抛
(
なげ
)
うってこの子を生かすのだ。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
人工の機械で、何うしてこんな大きな石を、こんなに高くまで
抛
(
なげ
)
る事が出来るものか、人間の力では一遍だつて出来ない事を、噴火山は手玉に取るやうに繰り返し/\何遍もやる。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
上の窓から花を
抛
(
なげ
)
る、まるで
紐育
(
ニューヨーク
)
人が空のリンディを迎えるような熱狂ぶりだった。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
又柵の
傍
(
そば
)
へ寄つて行く。
二人
(
ふたり
)
が
三人
(
さんにん
)
になつた。芝生の
中
(
なか
)
では砲丸
抛
(
なげ
)
が始つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、やがて手近の
卓子
(
テーブル
)
の上へ、その雑誌をばたりと
抛
(
なげ
)
ると、大事そうに
上衣
(
うわぎ
)
の隠しから、一枚の写真をとり出した。そうしてそれを眺めながら、蒼白い頬にいつまでも、幸福らしい微笑を浮べていた。
影
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
政子は読み終るとすぐ、細かに裂いて、
掌
(
て
)
のなかで小さい
鞠
(
まり
)
としてしまった。そして、
萱
(
かや
)
のまえへそれをぽんと
抛
(
なげ
)
ると、萱はすぐそれを拾ってどこかへ隠してしまった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこまで読むのが精いっぱいだった、全身ぶるぶる震いだしながら、思わずその手紙を
鷲掴
(
わしづか
)
みにして、「ひどい」と呟やく頭上へ、まるで石でも
抛
(
なげ
)
うつように
罵言
(
ばげん
)
が飛んできた。
恋の伝七郎
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ゑゝ
抛
(
なげ
)
やうかと云ふかとおもへば、何して呉れうと腹立つ様子を傍にてお吉の見る辛さ、問ひ慰めんと口を出せば黙つて居よとやりこめられ、詮方なさに胸の中にて空しく心をいたむるばかり。
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
数人の
酒場男
(
タベルネイロ
)
と
酒場女
(
タベルネイラ
)
が、この、戦時そのままの騒ぎを引き受けて、酒をつぐ・グラスを
抛
(
なげ
)
る・金をひったくる・お釣りを投げる・冗談を言い返す・悪口もかえす・喧嘩の相手もする・自分も呑む。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
抛
漢検1級
部首:⼿
7画
“抛”を含む語句
抛棄
抛物線
抛擲
抛出
放抛
打抛
抛込
抛下
追抛
執抛
独鈷抛山
槌抛
捨閉擱抛
抛放
抛捨
抛打
抛射物
抛合
抛却
抛入
...