手出てだし)” の例文
「お前がやはり、手出てだしをするから、それで喧嘩になるんだ。にもせんで、黙っているものを打ったり突いたりするものはない。」
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おいらが手で持ってさいその位騒ぐ奴等だ、それをお前こっちへ掴んでるからうっかり手出てだしゃならねえやな。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先方さき公立こうりつなりとておな唱歌しようか本家ほんけのやうなとほをしおる、去年こぞ一昨年おととし先方さきには大人おとな末社まつしやがつきて、まつりの趣向しゆこうれよりははなかせ、喧嘩けんくわ手出てだししのなりがたき仕組しくみもりき
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「しかも辱められるままに辱められていて、手出てだしもしなかッた」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
売溜うりだめ金子かねはいくらあろうと鐚一銭びたいちもんでも手出てだしをしめえぜ。金子で買ってしのぐような優長な次第わけではないから、かつえてるものは何でも食いな。寒い手合は、そこらにあるきれでも襯衣しゃつでも構わず貰え。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)