とけ)” の例文
婆「こゝなとけ炭斗すみとりを置きやすが、あんた方又洗物あらいもんでもあれば洗ってめえりやすから、浴衣でも汚れてれば己が洗濯をします」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「云やしねえったら。……おらもなあ、そのうち逃げ出そうと思ってるだ。こんなとけえ愚図ついてちゃつまんねえや。その時は頼むぞ。……だが早う行けよ。めっかると面倒だぞ。」
土地 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
こりゃアお作がおらとこへよこした手紙だが、こんな手紙があったか、困った奴だナア、まアおかゝさん、わしとけへ此の手紙を
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひょっとして貴方あんたのとけえでも来て、詰らねえ事でもハア言い出せば、貴方だっても、まア松五郎さんでも黙っては居なさらねえ、縁の切れたとけえ来て
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兼「道理でおかしいと思った……困るな、つんぼ………エヽナニあの遠方へ急に旅立をすると、家主のとけえ云置いて、何処へも沙汰なしに居なくなっちまッたんです」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
太「此間こねえだ勘右衞門かんえもんとけへ頼んで置いた、ちっとベエ午房種ごぼうだねを貰うベエと思ってノウ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
清「急に旅立をしたと、それにしても己のとけえ何とか云いそうなもんだ、黙って行く所をもって見りゃア、なんか済まねえ事でもしたんだろうが、彼奴あいつに限っちゃア其様そんな事アあるめいに」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
本「左様そうですが天道干てんとうぼしという奴ア商いの有無あるなしに拘わらず、毎晩めいばんおんなとけえ出て定店じょうみせのようにしなけりゃアいけやせんから、寒いのを辛抱して出て来たんですが、雪になっちゃア当分喰込みです」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)