所司代しょしだい)” の例文
ところが、御城番、町奉行、所司代しょしだい誰あって耳をす者なく、彼の上書じょうしょは嘲笑の種となって突ッ返された。つまり、どれもこれも事勿ことなかれ主義。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕政改革をめざす折衷派の盟主島津久光しまづひさみつが上洛するその直前をねらって、七百の同志をもって伏見と江戸で同時に事を挙げ、京都所司代しょしだいと江戸閣老を斃し
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
柳町の者どもは京都所司代しょしだいにしばしば願書をささげて、隠し売女の取締りを訴えたが、名奉行の板倉伊賀守もこの問題に対しては余り多くの注意を払わなかったらしく
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
寺からその旨を所司代しょしだい奥平信昌に届け出たところ、やがて家康から助命の沙汰が下った。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ず残存している教会堂を毀つとともに、大久保忠隣ただちか奉行ぶぎょうとして近畿に送り、所司代しょしだい板倉勝重かつしげと協力して、切支丹の嫌疑のある者を残らず捕縛さし、それを一人一人こもに巻いて
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
守護職、所司代しょしだい、および新撰組しんせんぐみの兵はそこに集まる諸藩の志士二十余名を捕えた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼は責任を知る晁錯ちょうそなり、無学なる(比較的に)王安石おうあんせきなり。彼は文化十二年寺社奉行となり、爾来じらい大坂城代じょうだいとなり、京都所司代しょしだいとなり、西丸にしのまる老中となり、遂に天保五年本丸ほんまる老中となる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ことに、板倉本家は、乃祖だいそ板倉四郎左衛門勝重かつしげ以来、未嘗いまだかつて瑕瑾かきんを受けた事のない名家である。二代又左衛門重宗しげむねが、父の跡をうけて、所司代しょしだいとして令聞れいぶんがあったのは、数えるまでもない。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「何か、所司代しょしだいより申越して参りましたか」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
本能寺に入ろうとして入るを得ず、ついにここへ落ちて来た所司代しょしだいの村井春長軒父子おやことその家来であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所司代しょしだい奥平殿の邸へ預けられたと聞いたときにも、同じ都の近いところにいると云うことが、なつかしくもある一面に、何だか恐いものが側へ寄って来たようで、体がすくむような気がしたが
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かれが所司代しょしだいとして京都に在職していた当時——宝暦の事変が起った時には、自身、竹内式部たけのうちしきぶをしらべ公卿くげ十七家の処分をして、相当にその手腕をみせたものである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前田玄以は、京都の所司代しょしだいをかね、禁裡きんり、寺社の一切を奉行し、洛中洛外の諸事を裁判する。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折よくも、所司代しょしだいの士が告げて来た。秀吉も、ちょうど書面をしたためさせ終っていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)