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憎々
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にくにく
ふりがな文庫
“
憎々
(
にくにく
)” の例文
癇癪持の蜜蜂は、羽をならしながら
憎々
(
にくにく
)
しそうに言いました。
曩
(
さき
)
の日のことを思うと、今になってもまだ腹に据えかねるのでした。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「俺はお前と別れようと思う」浪人は
憎々
(
にくにく
)
しくやがていった。「くらしが変れば心持ちも変る。……俺は成りたいのだ、明るい人間にな」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「うんにゃ、こっちはまだ
大有
(
おおあ
)
りだ」と
憎々
(
にくにく
)
しげに
頤
(
あご
)
をしゃくり「貰いたいものを貰ってゆかねば、日本へ帰ってきた甲斐がねえや。——」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その場かぎりの感情で、物事を切り裁いて行く男の強さが、ゆき子にはいまでは
憎々
(
にくにく
)
しい程の魅力になつてもゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
鮓売の女 それでも
憎々
(
にくにく
)
しい顔ぢやないか? あんな顔をした御上人が
何処
(
どこ
)
の国にゐるものかね。
往生絵巻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
眼の三角形な
険
(
けわ
)
しい
顔付
(
かおつき
)
の監督は、
憎々
(
にくにく
)
しそうに女を横目で睨んだ。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
諸戸はやや興奮して、さも
憎々
(
にくにく
)
しげに喋って来たが、一寸押黙って、じっと私の目を覗き込んだ。私はその時、彼の目の中には、いつもの愛撫の表情が
失
(
う
)
せて、深い恐怖の色が漂っているのを感じた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ああ、それにしても……」丘助手は、博士の門に入ることの出来た喜びを
沁々
(
しみじみ
)
と感じたことだった。「この
憎々
(
にくにく
)
しく
聳
(
そび
)
え立つ殺人興奮の曲線?」
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
麻緒
(
あさお
)
の
足駄
(
あしだ
)
の歯を
扭
(
よじ
)
って、
憎々
(
にくにく
)
しげにふり返りますと、まるで法論でもしかけそうな勢いで、『それとも竜が天上すると申す、しかとした証拠がござるかな。』と問い
詰
(
つめ
)
るのでございます。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
石段
(
いしだん
)
の
上
(
うえ
)
から、
男
(
おとこ
)
が、
憎々
(
にくにく
)
しげにどなりました。
石段に鉄管
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、船長ノルマンは、
憎々
(
にくにく
)
しげにいいはなって、竹見の襟髪をもったまま、
猫
(
ねこ
)
の
仔
(
こ
)
でもあつかうようにふりまわした。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おう、しかとこの殿じゃ。」と、
憎々
(
にくにく
)
しげに答えました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「はッはッはッ」と天井裏の声は
憎々
(
にくにく
)
しげな声で笑った。「日本の探偵さんは、案外もろいですネ。……さァ、動くと
生命
(
いのち
)
がないぞ。じッとしているんだ」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
憎々
(
にくにく
)
しい鴨田の声に、須永が尚も懸命に争っている
裡
(
うち
)
に、いつの間に開いたか、入口の
扉
(
ドア
)
が開かれ、そこには此の場の
光景
(
ありさま
)
を
微笑
(
ほほえ
)
ましげに眺めている帆村の姿があった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「たとえば何だという?」とフョードルが
憎々
(
にくにく
)
しげに中尉を
睨
(
にら
)
みつけた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ワグナーが、
憎々
(
にくにく
)
しげに、語尾に力をこめて艇長にきいた。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と
憎々
(
にくにく
)
しげに云った。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
憎
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
々
3画
“憎々”で始まる語句
憎々顔