なぐさめ)” の例文
我はかしこになぐさめをうるを望まざれども、かく大いなる恩惠めぐみいまだ死せざる汝の中に輝くによりてこれを告ぐべし 四〇—四二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
偶然二階の彼女の部屋に行つてさういふところを見ると、私も言ひしれぬ寂しさを感じなぐさめの言葉も出ない事がよくあつた。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
然り祈祷は無益ならざりしなり、十数年間一日のごとく朝も夕も爾に祈りつつありしが故に今日こんにちこの思わざるのよろこびなぐさめとを爾より受くるを得るなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
もしそれが敵からの諜者まはしものであつて、親切らしくなぐさめの詞をかけながら、何の守も、何の用意もない俺の本陣の本統の状況を見きはめて行つて、世間にそれをおつぴらに云ひ散らされたときは
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
枕すべき所もなき迫害の荒野に立ちて基督キリストの得給ひしなぐさめは、ひとり天父の恩愛のみでしたか、な、彼に扈従こじゆうせる婦人のきよき同情は、彼が必ず無量の奨励を得給ひたる地上の恵与であつたと思ふ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
なぐさめはたゞこの笙の笛
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しかして我等のこの處を𢌞めぐりて苦しみを新たにすることたゞ一たびにとゞまらず——われ苦しみといふ、まことになぐさめといはざるべからず 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
彼祈り得る時はなんじの特別のめぐみなぐさめとを要せず、彼祈り能わざる時彼は爾の擁護を要する最も切なり、余は慈母がその子の病める時に言語ことばに礼を失し易く
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
後羽を動かして、哀れむ者はその魂なぐさめの女主となるがゆゑに福なることを告げつつ我等をあふげり 四九—五一
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
不治の病怖るるに足らず、快復の望なお存するあり、これに耐ゆるのなぐさめと快楽あり、生命いのちまさる宝と希望のぞみとを汝の有するあり、また病中の天職あるあり、汝は絶望すべきにあらざるなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
冬の枝になぐさめあり
寒中の木の芽 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)