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恣
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ほしいま
ふりがな文庫
“
恣
(
ほしいま
)” の例文
お島は長いあいだの経過を考えて、何の温かみも感ずることのできない
恣
(
ほしいま
)
まな兄との接触に、失望したように言出した。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
或は又凡てを
容
(
い
)
れ凡てを抱いて、飽くまで外界の
跳梁
(
ちょうりょう
)
に身を任かす。昼には歓楽、夜には遊興、身を凡俗非議の外に置いて、死にまでその
恣
(
ほしいま
)
まな姿を変えない人もある。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
一千万を三乗した数とは一の下に
零
(
れい
)
を二十一付けた
莫大
(
ばくだい
)
なものである。想像を
恣
(
ほしいま
)
まにする権利を有する
吾々
(
われわれ
)
もこの一の下に二十一の零を付けた数を思い浮べるのは容易でない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必
(
かならず
)
しも
力
(
つと
)
むるとにはあらねど、夫の前には
自
(
おのづか
)
ら気の張ありて、とにかくにさるべくは振舞へど
恣
(
ほしいま
)
まなる
身一箇
(
みひとつ
)
となれば、
遽
(
にはか
)
に
慵
(
ものう
)
く
打労
(
うちつか
)
れて、心は整へん
術
(
すべ
)
も知らず
紊
(
みだ
)
れに乱るるが常なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
奢を
恣
(
ほしいま
)
まにせば
熊掌
(
ゆうしやう
)
の炙りものも
食
(
くら
)
ふに
美味
(
よきあぢ
)
ならじ、足るに任すれば
鳥足
(
てうそく
)
の繕したるも纏ふに
佳衣
(
よききぬ
)
なり、ましてや
蘿
(
つた
)
のからめる窓をも捨てゞ月我を
吊
(
とむら
)
ひ、松たてる軒に来つては風我に戯る
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
予が学び知るところまた自ら経験せるところを以てすれば、屁とか
噦
(
しゃくり
)
とかいうものはこれを
恣
(
ほしいま
)
まにすれば所を嫌わず続出し、これを忍べば習い性となって決して
暴
(
にわ
)
かに出て来るものでない。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
恣
(
ほしいま
)
まな圧制を
ピアノ
(新字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
健三の
申出
(
もうしで
)
は細君の父によって黙って受け取られた。そうして黙って捨てられた。彼は眼前に横暴を
恣
(
ほしいま
)
まにする我子を見て、何という未来の心配も
抱
(
いだ
)
いていないように見えた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
教授の講義は
碌
(
ろく
)
に聴きもせず、手当り次第に
一人
(
ひとり
)
ぼつちの乱読を
恣
(
ほしいま
)
まにした
時
(
とき
)
ですら、書物から得る凡ての知識は、みな此普魯西中心の国家といふ大理想を構成する
為
(
ため
)
に利用されたのである。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
恣
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恣”を含む語句
放恣
恣意
自恣
驕恣
偃蹇恣雎
専恣
恣欲
放恣浩蕩
放恣醜態
放蕩自恣
暴戻恣睢
洸洋自恣
淫恣
荒怠暴恣