御父おとう)” の例文
否、胆力とは両立し得ないで、しかも胆力以上に難有がつて然るべき能力が沢山ある様に考へられる。御父おとうさんから又胆力の講釈を聞いた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
月々つき/″\にいさんや御父おとうさんの厄介になつたうへに、ひとぶん迄自分に引受けて、貸してやらうつて云ふんだから。だれたくはないぢやありませんか
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
じつ今日けふは其用で御父おとうさんにひにたんですが、いま御客おきやくの様だから、ついでと云つては失礼だが、貴方あなたにも御話おはなしをして置きます
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一昨日をとゝひ佐伯さへきからとゞけてれた。御父おとうさんのつてたもので、おれののこつたのは、いまぢやこれだけだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「えゝ、今日けふ西洋せいやう叔母をばさんごつこよ。東作とうさくさんは御父おとうさまだからパパで、雪子ゆきこさんは御母おかあさまだからママつてふのよ。くつて」と説明せつめいした。其時そのときまたべつこゑ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人にれられて彼を新橋しんばしに迎えたこの娘は、久しぶりに父の顔を見て、もっと御父おとうさまかと思ったとはたのものに語った如く、彼女自身の容貌もしばらく見ないうちに悪い方に変化していた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)