御本ごほん)” の例文
り世間も何だか騷々さう/″\しく本もよんでも身に成ませねば二更よつでも打て親父が寢てからそつと忍んでゆき御本ごほん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
善「まだ殿様はおしずまりなされぬようで、まだ御本ごほんのお声が聞えますくらい、ずお這入はいり」
此の御本ごほんの先生を、う其は……贔屓ひいきな夫人があつて、其のかたが私を飼つて、口移くちうつしにを飼つたんです。私は接吻キッスをする鳥でせう。してね、先生のとこへ贈りものになつて、私は行つたんです。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はちかつぎが子供こどもとき、おかあさんからならったことは、むかし御本ごほんんだり、和歌わかんだり、こと琵琶びわをひいたりすることばかりでした。でもそんなことは女中じょちゅうのしごとにはなんやくにもちません。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
御本ごほんを読んでおくれ、お前の声のきこえるうちは私も生きてゐたい。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
御本ごほんを讀んでたの。」
開て忠兵衞が若旦那樣相變あひかはらず今日も御本ごほんで御座りますかと進み這入はひるに此方は見返へりオヽたれかと思へば管伴ばんたう忠兵衞昨今さくこん水揚みづあげ荷物にもつありて店は大層たいそういそがしいと聞しに今頃何用にて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)