御新造様ごしんぞさま)” の例文
旧字:御新造樣
かのそそくさ男を始めとして女中ども一同旦那さま御新造様ごしんぞさまと言へば、応々おいおいと返事して、男の名をば太吉たきち太吉と呼びて使ひぬ。
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其れからみんなして遺骸おからだを、御宅へかついでめえりましたが、——御大病の御新造様ごしんぞさま態々わざ/\玄関まで御出掛けなされて、御丁寧な御挨拶ごあいさつ、すると旦那
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
盗人ぬすびとを捕えて見ればわがなりか、内の御新造様ごしんぞさまのいい人は、お目にかかるとお前様だもの。驚くじゃアありませんか。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こッちへ上ってくる御新造様ごしんぞさまは、いずれ御城下のお方だろうが、なんというお美しいことだろう——と、藍取歌あいとりうたを唄っていたおかの娘が見とれていた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。ただ今御新造様ごしんぞさまももうお休みになるからと表の戸閉りをなすっていらっしゃいます。」と女は漆塗うるしぬりふたをした大きな湯呑ゆのみ象牙ぞうげはしを添えた菓子皿とを種彦の身近にすすめて
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御新造様ごしんぞさま——」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうじゃあねえか、これがな、おめえか、ばばあか、またこの御新造様ごしんぞさまなら仔細しさいはねえ、よしんば仔細があった処で泣く子と地頭だ、かれこれいって来る筋じゃあねえ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御新造様ごしんぞさま、そこにおいでで御座いましたか。——表の京染屋きょうぞめやでございますが』
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御新造様ごしんぞさまがおありなさりますれば、御坊様ごぼうさまにも一かさね、子産石を進ぜましょうに……」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仰向あおむかしった枕をこぼれて、さまでせも見えぬ白い頬へかかる髪の先を、しっかり白歯でましったが、お馴染なじみじゃ、わしやぶの下でまちつけて、御新造様ごしんぞさましっかりなさりまし、と釣台にすがったれば
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おそなわりました、御新造様ごしんぞさま。」
女客 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もし御新造様ごしんぞさまえ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)