御慈悲ごじひ)” の例文
「泣くな。泣くな。せめては今日きょう会っただけでも、仏菩薩ぶつぼさつ御慈悲ごじひと思うがい。」と、親のように慰めて下さいました。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一時餘いつときあまりちぬれどもでよとはのたまはず、はただしたまふべき樣子やうすもなし。彼者かのもの堪兼たまりかねて、「最早もはや御出おだくださるべし、御慈悲ごじひさふらふ」とたてまつる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しん不亂ふらんに念じ居たりしが不※ふととなりの話しの耳の入女房お政は心付是は當時天下に名譽高き御奉行と評判ひやうばんある大岡越前守樣へ駈込かけこみ訴訟をして夫文右衞門が身のあかりの立樣に御慈悲ごじひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主人半右衞門を殺害せつがいいたさせたる段、主殺しゅうころし同罪、はりつけにも行うべき処、主人柳の頼み是非なく同意いたしたる儀につき、格別の御慈悲ごじひをもって十四ヶ年遠島を申付くる、有難く心得ませい
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かんがへ不義せし者へ金迄かねまで付けかれが存念通り惣内方へ遣す程の儀に御座れば何しに恨を殘しませうぞ何分御慈悲ごじひ御吟味ごぎんみ願ひ奉つると申を理左衞門りざゑもん默言だまれしかり其方伯父九郎兵衞へ金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
老女のはからいで事なく若江はお暇の事になりましたは御慈悲ごじひでござります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
受出せしは全く私しより相贈あひおくり候金子に相違之なく勿々なか/\文右衛門儀盜賊など仕つり候者に候はず何卒なにとぞ御慈悲ごじひを以て同人儀出牢仰せ付られ下しおかれ候樣偏へに願ひ上奉つり候と一一什しじふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)