御思召おぼしめし)” の例文
わたしことへば御自分ごじぶんものにして言葉ことばてさせてくださる御思召おぼしめし有難ありがたうれしいおそろしい、あまりの勿躰もつたいなさになみだがこぼれる
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
東照宮の御思召おぼしめしで公儀におかせられても格別の御挨拶を下さる佐久間勘解由、公儀御用達とはいっても決して町人ではありません。
もらひ請て候へば御思召おぼしめしの程は重々ぢう/\有難く存ずれども此金子は返納へんなふ仕つりたしと云を佐太夫は押返おしかへし夫しきなるわづかの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その日は御祝の印といって、旦那様の御思召おぼしめしから、門に立つものには白米と金銭おかねを施しました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
井上さん与重よぢゆうさんなど先達せんだつで相談最中なさうですよ、先生、うして下ださる御思召おぼしめしですか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
それは明治の諸政一新という御思召おぼしめしにより、四民平等の恩典に浴したためではあるが、西南戦争劇上演のために、薩南の事情を明らかにするには、当時の顕官に接近せざるを得ない。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
了休禅坊とは在俗中も出家後も懇意に致居りましたを手寄たよりに、御尋致しましたるところ、御隔意無く種々御話し下され、失礼ながら御気象も御思召おぼしめしも了休御噂の如く珍しき御器量に拝し上げ
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いつでもできるように思いいたずらに過ごし参らせ候より今となりてあの事も習って置けばよかりしこの事も忘れしと思いあたる事のみ多く困り入り参らせ候 英語の勉強も御仰おんおおせのこと有之これあり候えばぜひにと心がけ参らせ候えども机の前にばかりすわり候ては母上様の御思召おぼしめしもいかがと存ぜられ今しばらくは
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「いえ、御領内から千人の美女を集め、千人から百人を選び、百人から十人を選び、最後の十人のうちから、殿御自身の御鑑定おめがね御思召おぼしめしに叶った美人を一人だけ選び取られるので御座ります」
「領主の御思召おぼしめしに反いても」