御姿みすがた)” の例文
郎女は尊さに、目のれて来る思いがした。だが、此時を過してはと思う一心で、御姿みすがたから、目をそらさなかった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
きれいな身なりをして化粧をした朝臣あそんたちをたくさん見たが、のお上着を召した端麗な鳳輦ほうれんの中の御姿みすがたになぞらえることのできるような人はだれもない。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
しかし好みと云うものも、万代不変ばんだいふへんとは請合うけあわれぬ。その証拠には御寺みてら御寺の、御仏みほとけ御姿みすがたを拝むがい。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お社はその泉の前の岩の上にあり、御神体は筆を手に持って、歯を染めようとする女の御姿みすがたでありました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「——うれしや、欣しや。ばばの善心を、日頃からあわれとおぼし給い、この大難へ、仮の御姿みすがたして、救いにお降り下されましたか。大慈大悲、南無、観世音菩薩かんぜおんぼさつ——南無、観世音菩薩」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
端厳微妙たんげんびみょうなる大悲観世音の御姿みすがたを持ってるようなものが出来たのである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少し彩色は濃厚すぎますが、実に非凡の出来栄え、右手に金剛杵こんごうしょを持ち、左手に金剛鈴こんごうれいを執った慈悲の御姿みすがた美妙びみょうと言おうか、端麗と言おうか、あまりの見事さに平次もしばらくは言葉もありません。
我身は神の御姿みすがたの摸造ながら、自ら顧みれば苦※くゆの器に殊ならず。
「愛」の御姿みすがたうつそ身にあらはれいでし不思議さよ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かたどれる御姿みすがたなり。5875
「愛」の御姿みすがたうつそ身に現はれいでし不思議さよ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)