まさぐ)” の例文
満枝はさすがあやまちを悔いたる風情ふぜいにて、やをら左のたもとひざ掻載かきのせ、牡丹ぼたんつぼみの如くそろへる紅絹裏もみうらふりまさぐりつつ、彼のとがめおそるる目遣めづかひしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
令嬢は、右の手に持つてゐる華奢な象牙骨の扇を、まさぐりながら、青年の顔を見上げながら、さすがに女らしく云つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
その若い男は、店の前に立ててある松飾りの、松の葉をまさぐっていた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
机の上に置かれた金脚のついた宝石の一つをまさぐりながら
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
令嬢は、右の手に持っている華奢きゃしゃ象牙骨ぞうげぼねの扇を、まさぐりながら、青年の顔を見上げながら、さすがに女らしく云った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
遊佐がまさぐれる半月形の熏豚ハム罐詰かんづめも、このまうけにとてみちに求めしなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
父は騒がず、ゑみを含みて赤きひげまさぐりたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)