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広茫
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こうぼう
ふりがな文庫
“
広茫
(
こうぼう
)” の例文
広茫
(
こうぼう
)
たる一面の麦畑や、またその麦畑が、
上風
(
うわかぜ
)
に吹かれて
浪
(
なみ
)
のように動いている有様やが、詩の
縹渺
(
ひょうびょう
)
するイメージの影で浮き出して来る。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
太陽の光を浴び
蝶
(
ちょう
)
の群れ飛んでる
広茫
(
こうぼう
)
たる地面を四角に切り取っている大きな黒壁の神秘な魅力、それらのものに著者の心はひかれていた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
稲田、福原をあわせて何千石という
広茫
(
こうぼう
)
な青田をわたって来るすず風が、絶えず、この僧俗
一如
(
いちにょ
)
の家庭を清新に洗っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
振り返って見ると富士の山は、
広茫
(
こうぼう
)
たる裾野の空高く、巨人のように立っている。厳かではあるが険しくはない。それは君子の姿である。じっと甚太郎を見送っている。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
地球の両半球をわかつ
広茫
(
こうぼう
)
たる海原は、人生行路に横たわる一ページの白紙のようなものだ。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
▼ もっと見る
まず、その手初めが“
Ser-mik-suah
(
セル・ミク・シュア
)
”グリーンランド中部高原の北緯七十五度あたり、氷河と峻険と猛風雪と酷寒、
広茫
(
こうぼう
)
数百の氷河を擁する未踏地中のそのまた奥。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
クリストフはその岸も際限もない
広茫
(
こうぼう
)
たる鳴り響く海原のうちに迷い込んだ。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あるとき北原武夫がどこか風景のよい温泉はないかと訊くので、
新鹿沢
(
しんかざわ
)
温泉を教えた。ここは浅間高原にあり、ただ
広茫
(
こうぼう
)
たる涯のない草原で、樹木の影もないところだ。私の好きなところであった。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
広茫
(
こうぼう
)
無限な大自然の偉力に対して、さしもの英傑豪雄の徒も人間の小ささを、父祖代々生れながらに、知りぬいていた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしながら海は、一の
広茫
(
こうぼう
)
とした
眺
(
なが
)
めにすぎない。無限に、つかみどころがなく、単調で飽きつぽい景色を見る。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
すると
広茫
(
こうぼう
)
たる平原へ出た。その平原の遥か向こうに、一帯の湖水が見えていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
よしんば
内部
(
なか
)
が、「
冥路の国
(
セル・ミク・シュア
)
」をふくむ
広茫
(
こうぼう
)
の未踏地とはいえ、沿岸を占めれば自然奥地も領地となる——国際法には奥地主義の法則がある。それでは、先占
云々
(
うんぬん
)
の余地は完全にないではないか。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一日私は
広茫
(
こうぼう
)
たる水田のほとりへ辰夫を訪れた。
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
広茫
(
こうぼう
)
たる平原の向うに、地平をぬいて富士が見える。その
山麓
(
さんろく
)
の小家の周囲を、夏の
羽蟻
(
はあり
)
が飛んでるのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
さなきだに、この辺は、
赤城颪
(
あかぎおろ
)
しの
蕭殺
(
しょうさつ
)
たる風土と人心を、あるがままにしている
坂東
(
ばんどう
)
平野の
広茫
(
こうぼう
)
なのだ。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広茫
(
こうぼう
)
とした穂蓼の草原が、遠く海のように続いた向うには、
甲斐
(
かい
)
の山脈が日に輝き、うねうねと連なっている。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかも、この
広茫
(
こうぼう
)
な大地は、さながらそのまま行道を待つ絶好な道場であり、また鍬と土には、必ず開墾が生じ、その余恵は、幾百年の末まで、幾多の人間を養うことにもなる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
詩という言語を拡大して、こんな風にまで
広茫
(
こうぼう
)
とひろげて行ったら、遂に詩の外延は無限に達し、内容のない空無の中でノンセンスとして消滅せねばならないだろう。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
しかも工事の
督励
(
とくれい
)
は急速を極めて、夜も日もあったものでなく、起工以来まだ一年にも満たないまに、
湖畔
(
こはん
)
の一丘には大体その骨組を完成し、
広茫
(
こうぼう
)
な桑田や畑は、新しい城下町と化していた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広
常用漢字
小2
部首:⼴
5画
茫
漢検1級
部首:⾋
9画
“広”で始まる語句
広
広場
広東
広重
広々
広間
広小路
広野
広漠
広汎