幽霊いうれい)” の例文
旧字:幽靈
さすがの源教げんけう戦慄ぞつとせしが、心をしづめてよくこそきたりつれといふに、幽霊いうれいはさらにことばをいださず、すがたは昨夜よんべ見たるにたがはず。
途方とはうにくれてよめ塩原しほばら内井戸うちゐど飛込とびこんで幽霊いうれいに出るといふのがつぶはじめで、あの大きなうちつぶれてしまつたが、なんとこれは面白おもしろ怪談くわいだんだらう
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
西洋の幽霊いうれい——西洋と云つても英米だけだが、その英米の小説に出て来る、近頃の幽霊の話でも少ししませう。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
南瓜かぼちやへたほどな異形いぎやうものを、片手かたてでいぢくりながら幽霊いうれいのつきで、片手かたてちうにぶらり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしろよりはた泣くは青白きいへ幽霊いうれい
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
西洋の幽霊いうれいごとき手つきして
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
仏のまへに新薦あらこもをしきて幽霊いうれいらする所とし、入り口の戸をもすこしあけおき、とぎたてたる剃刀かみそり二てうを用意よういし今や/\と幽霊いうれい待居まちゐたり。
さればよ仏壇ぶつだんの下こそよきかくれ所なれ、かまへて人にかたり玉ふな、かたりたらば幽霊いうれいを見んとて村の若人わかうどらがべきぞ。心えたるはとて立かへりぬ。