平吉へいきち)” の例文
こゝにをくふ平吉へいきち博奕仲間ぶちなかまたのんで、あはせ綿入わたいれ一枚いちまいづゝ、おびへて質入しちいれにして、小助こすけにぎつた金子かねが……一歩いちぶとしてある。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石山平吉へいきちは我にもなく怒鳴るような大声で一息に言い終ると、心配そうな眼をして監督の顔をのぞき込んだ。
秋空晴れて (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
さうしてそれが又、荘介小文吾再会の機縁になるのでございますからな。不肖ぢやございますが、この近江屋あふみや平吉へいきちも、小間物屋こそ致して居りますが、読本よみほんにかけちや一かどつうのつもりでございます。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これは平吉へいきち……へいさんと言うが早解はやわかり。織次の亡き親父と同じ夥間なかまの職人である。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ときに、一歩いちぶ路用ろようとゝのへて、平吉へいきちがおはむきに、なゝツさがりだ、掘立小屋ほつたてごやでも一晩ひとばんとまんねな兄哥あにい、とつてくれたのを、いや、瓜井戸うりゐど娼妓おいらんつてらと、れいおれが、でから見得みえつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)