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巾着切
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きんちゃくきり
ふりがな文庫
“
巾着切
(
きんちゃくきり
)” の例文
今村に
紙幣
(
さつ
)
を渡している時である。さっきから人に押されながら立っていた
巾着切
(
きんちゃくきり
)
の黒眼鏡が、すぐに彼女のすがたを見出して
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎は遊んでいる片手を働かせて、内懐から腹掛の丼から、
犢鼻褌
(
ふんどし
)
の三つまで
捜
(
さぐ
)
っております。女
巾着切
(
きんちゃくきり
)
と思込んだのです。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巾着切
(
きんちゃくきり
)
かテキ屋みたいに安っぽい吾輩の顔の造作が、お蔭で華族の若様みたいなフックリした感じに変って来たから不思議だ。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「じゃ、まあ、知らないとして。それから、お話するですがね。早瀬は、あれは、
攫徒
(
すり
)
の手伝いをする、
巾着切
(
きんちゃくきり
)
の片割のような男ですぞ!」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少し眼に
怖味
(
こわみ
)
はありますが、
是
(
もっと
)
も
巾着切
(
きんちゃくきり
)
のような眼付では有りません、堅いお屋敷でございますから
好
(
よ
)
い
服装
(
なり
)
は出来ません、小紋の変り裏ぐらいのことで、厚板の帯などを締めたもので
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
うっかりあの前へ行ってポカンと立っていると
巾着切
(
きんちゃくきり
)
に巾着を切られるから用心しろ、ぐずぐずしていると
迷児
(
まいご
)
になるから、おれの袖をしっかり
捉
(
つか
)
めえていろ、自分の足を踏まれぬように
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
世間がこんなものなら、おれも負けない気で、
世間並
(
せけんなみ
)
にしなくちゃ、
遣
(
や
)
りきれない訳になる。
巾着切
(
きんちゃくきり
)
の上前をはねなければ三度のご
膳
(
ぜん
)
が
戴
(
いただ
)
けないと、事が
極
(
き
)
まればこうして、生きてるのも考え物だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春から大した御用もなく、
巾着切
(
きんちゃくきり
)
や空巣狙いを追い廻させられて、銭形の親分も少し腐っていた最中だったのです。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巾着切
(
きんちゃくきり
)
の黒眼鏡の常は、前の日から馴じみの待合の奥にしけこんでいた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時々は彼らに対して気の毒だと思うほど、私は油断のない注意を彼らの上に
注
(
そそ
)
いでいたのです。おれは物を
偸
(
ぬす
)
まない
巾着切
(
きんちゃくきり
)
みたようなものだ、私はこう考えて、自分が
厭
(
いや
)
になる事さえあったのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おい、
己
(
おれ
)
を、まあ、何だと思う。浅草
田畝
(
たんぼ
)
に巣を持って、観音様へ羽を
伸
(
の
)
すから、
隼
(
はやぶさ
)
の
力
(
りき
)
と
綽名
(
あだな
)
アされた、
掏摸
(
すり
)
だよ、
巾着切
(
きんちゃくきり
)
だよ。はははは、これからその気で附合いねえ、こう、頼むぜ、小父さん。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ナーニあれは
巾着切
(
きんちゃくきり
)
だ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おや、おや、おや、——それじゃ八五郎親分、お前さんは泥棒や
巾着切
(
きんちゃくきり
)
を逃がしてお役目が済むというんですか」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
王子のお滝という、名題の女
巾着切
(
きんちゃくきり
)
、二十四五の豊満な肉体と、
爛熟
(
らんじゅく
)
し切った
媚態
(
びたい
)
とで、重なる悪事をカムフラージュして行く、その道では知らぬ者のない
大姐御
(
おおあねご
)
です。
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
巾
常用漢字
中学
部首:⼱
3画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“巾着”で始まる語句
巾着
巾着頭
巾着銭
巾着網
巾着茄子