差配おおや)” の例文
構わず談じようじゃあねえか、十五番地の差配おおやさんだと、昔気質かたぎだからいんだけれども、町内の御差配ごさいはいはいけねえや。羽織袴でステッキ
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
作平頼む、と差配おおやさんが置いてかれた。かしこまり奉るで、昨日きのうそれが出来て、差配さんまで差出すと、すぐに麹町のおやしきとやらへかしった。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
双方聞合せて、仔細しさいが分ると、仕手方の先見あきらかなり、ステッキ差配おおやさえ取上げそうもないことを、いかんぞ洋刀サアベルうなずくべき。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
差配おおやさん苦笑にがわらいをして、狸爺め、濁酒どぶろくくらい酔って、千鳥足で帰って来たとて、桟橋さんばしを踏外そうという風かい。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こういうこともあろうためだ、路は遠し、大儀ながら店請たなうけの方へ掛け合おうと、差配おおやさん、ぱっちの裾をからげにかかると、愛のやつのうろたえさ加減ッたらなかったそうで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
後からあとから人集ひとだかりでしょう。すぐにざぶり! 差配おおやの天窓へ見当をつけたが狛犬こまいぬ驟雨ゆうだちがかかるようで、一番面白うございました、と向うのにごり屋へ来て高話をしますとね。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見つつ松崎が思うまで、来れや、来れ……と言った差配おおやの言葉は、怪しいまで陰に響いて、幕の膨らんだにつけても、誰か、大人が居て、蔭で声をけたらしく聞えたのであった。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからね、人を馬鹿にしゃあがった、その痘痕あばためい、差配おおやはどこだと聞きゃあがる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところで聞かっしゃい、差配おおやさまのうのには、作平、一番ひとつ念入ねんいりってくれ、その代り儲かるぜ、十二分のお手当だと、膨らんだ懐中ふところから、朱総しゅぶさつき、にしきの袋入というのを一面の。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
対手あいて差配おおやさんなり、稲荷は店請の義理があるから、てッきり剣呑みと思ったそうで、家主の蕎麦屋そばやから配って来た、引越の蒸籠せいろうのようだ、唯今ただいまあけます、とほうほうの体で引退ひきさがったんで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「迷児の音頭はりつけねえが、ままよ。……差配おおやさん、合方だ。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「だから差配おおやさんに懸合ってもらってよ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きたれや、来れ。」と差配おおやは異変な声繕こわづくろい
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)