がん)” の例文
常陸ひだちの海がんあさ鰹船かつをふねの出かけをうつした印畫いんぐわを或る專門せんもん家に見せた時には、どうしてもそれが中學三年生のしろ人であるわたし撮影さつえい現像げんぞうつけにかゝるといふことをしんじてもらへなかつた。
上流の方には京都の下加茂の森に好く似た中島なかじまがあつて木立こだちの中に質素な別荘が赤い屋根を幾つも見せて居る。両がんには二階づくりに成つた洗濯ぶねが幾艘か繋がれて白い洗濯物がひるがへつて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大運河の両がんの層楼はいづれも昔の建築で大抵は当時の貴族の邸宅だが、今はホテルや又は名も無い富家ふかいうに帰して、碧榭へきしや朱欄さては金泥きんでい画壁ぐわへきを水に映し、階上より色色いろいろの大きな旗をなびかせて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)