山辺やまべ)” の例文
旧字:山邊
梶女はたしかめるようにこちらを見ていたが、すぐ思いかえしたようすで、今日は山辺やまべ温泉いでゆへゆくからしたくするようにと云った。
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
路傍みちばたにはもうふきとうなどが芽を出していました。あなたは歩きながら、山辺やまべ野辺のべも春のかすみ、小川はささやき、桃のつぼみゆるむ、という唱歌をうたって。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「もみぢ葉の散らふ山辺やまべぐ船のにほひにでて出でて来にけり」(同・三七〇四)という歌を作ったりしている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
層を成して深い谷底の方へ落ちた断崖の間には、桔梗ききょう山辺やまべ横取よこどり多計志たけし八重原やえばらなどの村々を数えることが出来る。白壁も遠く見える。千曲川も白く光って見える。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その雪の山辺やまべのテントのある横に大変低い山間やまあいがあってその山が西北の方に向って走って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
深雪みゆきふる遠き山辺やまべも都より見れば長閑のどかに立つ霞かな」
矢かたをうち出て見れば梅の花咲有さける山辺やまべに妹が家見ゆ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
(大和年中行事一覧。奈良県山辺やまべ郡二階堂村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山辺やまべの友のいへに居て
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ひさかたのあめをただひと山辺やまべればいぶせかりけり 〔巻四・七六九〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
大和山辺やまべ郡波多野村大字片平
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
黒川郡くろがはぐん山辺やまべにて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
巻向まきむく山辺やまべとよみてみづ水泡みなわのごとしひとわれは 〔巻七・一二六九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)