山出やまだ)” の例文
ローラなどはロミオが愛姫ひめくらべては山出やまだしの下婢はしためぢゃ、もっとも、うただけはローラがはるかに上等じゃうとうのをつくってもらうた。
ホテルの部屋も、部屋ボーイの山出やまだし女も、日本風の浴場も、長い間不自由な外国の生活を送って来た彼には、すべて凡て好ましいものばかりであった。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一と口にいうと、地方いなかからポッと山出やまだし書生の下宿ずまい同様であって、原稿紙からインキの色までを気にする文人らしい趣味や気分を少しも持たなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
さとしおさなきより植木うゑきのあつかひをきて、小器用こぎようはさみ使つかへば、竹箒たけばヽきにぎつて庭男にはをとこぐらゐなんでもなきこと、たゞ素性すじやうられじとばかり、まこと只今たヾいま山出やまだしにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヒステリー気味な所作しうちは良人へばかりではなかった。同期生の男たちが、山出やまだしとか田舎娘などとでも言ったら最期さいご、学校内でも火鉢が飛んだりする事は珍らしくなかったのである。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
三十二三の、それは勇敢ゆうかん山出やまだしでした。