-
トップ
>
-
小男
>
-
こをとこ
心丈夫に
車夫の
顏を
見れば二十五六の
色黒く、
小男の
痩せぎす、あ、
月に
背けたあの
顏が
誰れやらで
有つた、
誰れやらに
似て
居ると
人の
名も
咽元まで
轉がりながら
一人は
髮の二三
寸伸びた
頭を
剥き
出して、
足には
草履を
穿いてゐる。
今一人は
木の
皮で
編んだ
帽を
被つて、
足には
木履を
穿いてゐる。どちらも
痩せて
身すぼらしい
小男で、
豐干のやうな
大男ではない。