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寛恕
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かんじょ
ふりがな文庫
“
寛恕
(
かんじょ
)” の例文
斯様
(
かよう
)
な記憶の誤りが他にも有るのではないかと
憚
(
はばか
)
られて、憶い出の筆を取ることに躊躇されるのであるが、疎漏の罪は暫く
寛恕
(
かんじょ
)
を願いたい。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
二年も前からの旧約をお待ちくだすった
寛恕
(
かんじょ
)
の手前にも、ぼくは自分の健康ばかり言い訳にいっていられない気持になり
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして国を出て来たというこの男の憤りと恨みとはいかなる
寛恕
(
かんじょ
)
の言葉をも聞入れまいとするようなところがあった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
もし
奇蹟
(
きせき
)
があって、あの人が直ったら、自分は無論あの人と一しょに暮すだろう。あの人の事を思えば、優しい、
寛恕
(
かんじょ
)
して
遣
(
や
)
りたい悲哀が
萌
(
きざ
)
して来る。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
以後、決して他でお
噂
(
うわさ
)
申しませぬゆえ、
此
(
こ
)
のたびに限り、御
寛恕
(
かんじょ
)
ください。とんだところで大失敗いたしました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
自分はその時、内田の奥さんに内田の悪口をいって、ペテロとキリストとの間に取りかわされた
寛恕
(
かんじょ
)
に対する問答を例に引いた。いゝえ、それはきょうした事だった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
こういうわけで、わたしはわたし自身について格別の関心をもたない読者も、わたしがこの本のなかでこれらの質問の若干を答えようとするのを
寛恕
(
かんじょ
)
していただきたい。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
いくぶんの
寛恕
(
かんじょ
)
をもってこれに臨むということもできるかもしれない。
破片
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしその
後
(
あと
)
から、吉川夫人と自分との間に
横
(
よこた
)
わる一種微妙な関係を知らない以上は、誰が出て来ても
畢竟
(
ひっきょう
)
どうする事もできないのだから仕方がないという、嘆息を交えた
寛恕
(
かんじょ
)
の念も起って来た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただいかんせん
這個
(
しゃこ
)
の一論は、私の経済論の体系の一部を成すもので、これに触れずして論を進むるは事すこぶる困難なるを覚ゆるがままに、しばらく読者の
寛恕
(
かんじょ
)
を請うて再び同一の論を繰り返す。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
これをその筋の人に言わせたら、規則の何たるをわきまえない無知と
魯鈍
(
ろどん
)
とから、村民自ら犯したことであって、さらに
寛恕
(
かんじょ
)
すべきでないとされたであろう。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕は決して孔孟の思想を軽んじてはいません。その思想の根本は、
或
(
ある
)
いは仁と言い、或いは中庸と言い、或いは
寛恕
(
かんじょ
)
と言い、さまざまの説もありますが、僕は、礼だと思う。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
昔は一国の帝王が法王の
寛恕
(
かんじょ
)
を請うために、乞食の如くその
膝下
(
ひざもと
)
に伏拝した。又或る仏僧は皇帝の愚昧なる一言を聞くと、
一拶
(
いっさつ
)
を残したまま
飄然
(
ひょうぜん
)
として竹林に去ってしまった。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今其
轍
(
てつ
)
を蹈んで、無邪気な山人の心を勝手に
忖度
(
そんたく
)
し、而も夫を
以
(
もっ
)
て自己の不明を弁解するの具に供しようとすることは、真に恥ず可きの至りであるが、この際暫く読者の
寛恕
(
かんじょ
)
を得て筆を進めたい。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
一、題材は、春の幽霊について、コント。寸志、一枚八円にて何卒。不馴れの者ゆえ、失礼の段多かるべしと存じられ
候
(
そうろう
)
が、
只管
(
ひたすら
)
御
寛恕
(
かんじょ
)
御承引のほどお願い申上げます。師走九日。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
返す返す済まないが、右の事情を御賢察のうえ御
寛恕
(
かんじょ
)
下さい。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
寛
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
恕
漢検準1級
部首:⼼
10画
“寛”で始まる語句
寛
寛濶
寛々
寛永
寛政
寛文
寛衣
寛闊
寛大
寛容