嫌惡けんを)” の例文
新字:嫌悪
職業的に校則のみを云々する態度に深い嫌惡けんを憤懣ふんまんの情を抱いて居たので、其等の反感が一時に機會を得て爆發したまでの事である。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
その氣持ちを言ひ現すことは出來ないが、私は、彼女が私の行手ゆくての路に、嫌惡けんをと不親切の種を蒔きつゝあると云ふことを感じた。
とないだふしくがごとく、うらむがごとく、いつも(おう)のきたりて市街しがい横行わうかうするにしたがうて、くだん童謠どうえう東西とうざいき、南北なんぼくし、言語ごんごえたる不快ふくわい嫌惡けんをじやう喚起よびおこして、市人いちびとみゝおほはざるなし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私があの女に對したときのやうに嫌惡けんをを以てあなたから後退あとずさりしはしなかつたゞらう。あなたが落着いてゐるときには私の他には見張りも看護人もらなかつたゞらう。
其れは私の心をゑはして呉れた其の女自らであるのだ。よくモオパツサンの話を引くやうだが、私は女に對する男の絶望、嫌惡けんをの情を、あれほど深刻に感じた人はないと思ふ。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ジョン・リードの理不盡りふじんな虐待振りや、彼の妹の權高けんだかな冷淡さや、彼等の母が私に示す嫌惡けんをの情や、召使ひの寄せる依怙えこひいきが、濁つた井戸の暗い沈澱物ちんでんぶつを掻き𢌞すやうに