威光いこう)” の例文
威光いこうりりしくお進みになり、やがて天浮橋あめのうきはしをもおしわたって、どうどうと下界に向かってくだっておいでになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
にいさんはにいさんだけの威光いこうで、いきなりしかりつけて為朝ためともおそらしてやろうとおもったとえて、義朝よしとも為朝ためともかおえるところまでますと、大きなこえ
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
徳川家とくがわけ重臣じゅうしん甲州こうしゅう躑躅つつじさき城主じょうしゅ、大講会総奉行、それらの肩書かたがき威光いこうにきている長安は
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実業界に一寸名を知られた父の威光いこうで、ある商事会社の支配人を勤めている、池内光太郎いけうちこうたろうという、柾木と同年輩の青年紳士であったが、あらゆる点が柾木とは正反対で、明るい、社交上手な
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
虎の威光いこうは借りるまでもなく、側に坐っていると自然に身につく。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
爺さんはその威光いこうに打たれて、平伏へいふくしてしまいました。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
でもござりませぬが、今日こんにちお館のご威光いこうを見、またかくおともいたしているうちに、八幡船ばはんせんの手下となっていることが、つくづく浅ましく感じられ、むかしの武士ぶしにかえって、白日はくじつのもとに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)