奸雄かんゆう)” の例文
「曹操の心根には、なにがひそんでいるか知れたものではない。さいけた奸雄かんゆうの兇門へは、こっちから求めて近づかぬほうが賢明でしょう」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古来英雄と称するものは大抵たいてい奸雄かんゆう梟雄きょうゆう、悪雄の類である、ぼくはこれらの英雄を憎む、それと同時に鎌足かまたりのごとき、楠公なんこうのごとき、孔子こうしのごとき、キリストのごとき
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
野心と虚栄と俗望とを包むに悪辣なる手腕を以てした一奸雄かんゆうを以て始まって居る。
仏蘭西フランスを見ろ仏蘭西を! ナポレオン三世の奸雄かんゆう振のいかに恐ろしいかを見るがいい! 日本の国土を狙っているのだ。内乱に乗じて侵略し、利権を得ようと焦心あせっているではないか。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで衆愚心理を見破つて、これを正しく用ゐるのが良い政治家や軍人で、これを吾が都合上に用ゐるのが奸雄かんゆう煽動家せんどうかである。八幡大菩薩はちまんだいぼさつの御託宣は群衆を動かした。群衆は無茶によろこんだ。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
いや、たとい今日、かかるはじをうけても、心根の正しくない汝についているよりはましだった。奸雄かんゆう曹操ごとき者を見捨てたのは、自身、以て先見の明を
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして奸雄かんゆう本性ほんしょうを現わし、威嚇するように哄笑した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「むべなる哉。世間の人が、曹操は奸雄かんゆうで、悪賢い鬼才であるなどと、よく噂にもいうが、なるほど、当らずといえども遠からずだ。あなたはあくまで人を信じられないお方と見える」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いつわりを吐き給うな。君ごとき覇道はどう奸雄かんゆうに、なんで天子が勅を降そう。まことの詔詞みことのりとは、ここにあるものだ」と、かねて都にいた時、董国舅とうこっきゅうへ賜わった密書の写しを取りだし
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と街に歌っていた声は、すでに彼の運命を何者かが嘲笑していた暗示だったのであるが、李粛の言にあやされて、さしもの奸雄かんゆうも、それはわが身ならぬ漢室のことだと思っていたのである。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「短所も多かったが、長所も多い。もし曹操が現れなかったら、歴史はこうなって来なかったろう。何しても有史以来の風雲児だった。華やかなる奸雄かんゆうだった。彼いて寂寥せきりょうなきあたわずじゃ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりは共に、乱世の臣なら一方の奸雄かんゆうたり得る敏才びんさいを持ちあっている。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古今奸雄かんゆうの計ることは、おおよそを一にしておりまするて
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覇気横溢はきおういつのまま覇道はどうを行おうとする奸雄かんゆうです。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
君は戦国の奸雄かんゆうだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)