失念しつねん)” の例文
村中へ知らせず日暮ひぐれて立出させし所に猿島さるしま河原迄いた火打ひうち道具を失念しつねん致したるを心付昌次郎はとり立戻たちもどる時私しは又たくにて心付子供等があと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はるたといつては莞爾につこりなにたといつては莞爾につこり元来ぐわんらいがあまりしつかりしたあたまでないのだ。十歳じつさいとき髪剃かみそりいたゞいたが、羅甸ラテン御経おきやうはきれいに失念しつねんしてしまつた。
スミスは近代における新聞というものの遍在性を失念しつねんしていたばかりでなく、数度の「悲劇的結婚」によって、相手の女の親類や知人の間に多くの敵をつくっていたことをも
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「いや、取紛とりまぎれて失念しつねんをしようとした。ほんの寸志すんしだよ。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
全く失念しつねん致し居りしに相違さうゐ是なく候と云によりされば未だ返さぬのかとねん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
長庵の玄關さき失念しつねん致して歸り候により其後兩三度も取りにつかはし候得ども之無きおもむきにて返してくれざる故其儘に致し置候ひしが其節の傘に相違さうゐ無御座候然るに長庵右樣みぎやうの儀を申立る事何分にも其意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)