大真面目おおまじめ)” の例文
旧字:大眞面目
毎度このモデル問題では大真面目おおまじめでありながら滑稽こっけいに近い話などがいて、家のものなども大笑いをしたことが度々たびたびありました。
少女はもう大真面目おおまじめに編み棒の先へ目をやっていた。しかしその顔はどう云うものか、前に思ったほど生意気ではない。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして大真面目おおまじめに「あなたんとこへまだ随分沢山の人が東京から来るんでしょうな。およそ何人位まだ来る予定ですか。」私「それは判りません。」麻川氏
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それも例の調子でやるんなら話は分るが、こんなことを君、血走った眼をして、大真面目おおまじめに云うんだぜ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
ようやく新七は少し返辞へんじらしい声が出せて来た。八弥太は大真面目おおまじめなのである。嘘とは思われない。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、ところどころへ、罌粟けし山査子さんざしの実、黄色いたんぽぽをぱっとあしらう。マチルドと区別をするためだ。彼は、笑いたくない。で、三人とも、それぞれ大真面目おおまじめである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
そんなことはないよ。博士は、からかうなんて、そんな人のわるいことはしない。ああまで真剣で、大真面目おおまじめなんだ。謎々をかけたにしても、博士は必ずその解答のあることを
いまから見ればいささか滑稽こっけいとも思われようが、しかし、ぼくらは大真面目おおまじめだった。——ぼくらは、たぶん大人でも子供でもなかったのだし、おたがいにそれを自覚していた。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
いや、おどろく事は無い。何も、無理に死のうと言うのではない。お父さんは、いつも、百歳、いや百九歳くらいまで、なんとかして生きていたいと大真面目おおまじめに考えていたものです。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
人を馬鹿ばかにしている癖に、態度だけはいやに、真剣に大真面目おおまじめであるようだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
クリストフは大真面目おおまじめになって説き示そうとした、他人に冷淡であるのは許すべからざることだとか、人は助け合い慰め合いながら相互にたいへんためになることをなし得るのだとか……。
ピロちゃんが、大真面目おおまじめに、うなずく。
キャラコさん:07 海の刷画 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
もともと下戸げこに生まれたんなら、禁酒会へはいるのも可笑おかしいじゃないの? それでも御当人は大真面目おおまじめに禁酒演説えんぜつなんぞをやっているんですって。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ぼくは熱心に敵方のときも大真面目おおまじめで投げているので、それが不思議でならなかったが、それでも相手方をシャット・アウトに抑えたときの気分は、なんともいえずうれしかった。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
力負けがしてくると大焦おおあせりに焦って、大真面目おおまじめに機関車を後へ押し返そうと皆で揃ってワッショイワッショイやっているうちに、いつの間にか隧道の中へめられたのです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
規矩男は今度は大真面目おおまじめになって
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
秀吉は、大真面目おおまじめ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると半之丞は大真面目おおまじめに「あれは今おらが口から出て行っただ」と言ったそうです。自殺と言うことはこの時にもう半之丞のはらにあったのかも知れません。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「皆さん。そこにある屍体を見るのはかまわないけれど、手で触っちゃ駄目だよ。折角の殺人の証拠がメチャメチャになると、警官が犯人を探すのに困るからネ」と少年は大真面目おおまじめでいってから
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
志村の大将、その時分は大真面目おおまじめで、青木堂へ行っちゃペパミントの小さなびんを買って来て、「甘いから飲んでごらん。」などと、やったものさ。酒も甘かったろうが、志村も甘かったよ。
片恋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
金博士は、大真面目おおまじめでいった。
晴れた空のどこかには雲雀ひばりの声が続いていた。二人の子供はその声の下に二本芽にほんめの百合を愛しながら、大真面目おおまじめにこう云う約束を結んだ。——第一、この百合の事はどんな友だちにも話さない事。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)