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売女
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ばいじょ
ふりがな文庫
“
売女
(
ばいじょ
)” の例文
旧字:
賣女
菊地半九郎は
売女
(
ばいじょ
)
にうつつをぬかして大小を手放したとただ
一口
(
ひとくち
)
にいわれては、武士の面目にもかかわる。支配頭への聞えもある。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、客の望みによっては、程近き
麓
(
ふもと
)
の町から、
売女
(
ばいじょ
)
の類を招いて、周囲の風物にふさわしからぬ、馬鹿騒ぎを演じることも出来るのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
二、三十年間あらゆる階級の
売女
(
ばいじょ
)
に
狎
(
な
)
れ親しみ、取る年につれて並大抵の遊び方では満足しなくなって、絶えず変った新しい
刺㦸
(
しげき
)
を求めていた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下女が没趣味だとすると、私の身分ではもう
売女
(
ばいじょ
)
に触れて研究する外はないが、これも
大店
(
おおみせ
)
は金が掛り過るから、小店で満足しなければならん。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
たとえその夜、甲谷がお杉を追い立てるようなことをしたとはいえ、それならそれで、お杉も
売女
(
ばいじょ
)
にならずともすますことは出来たのではないか。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
売女
(
ばいじょ
)
のうちでもいちばん
卑
(
いや
)
しい夜鷹、二十文か三十文の金で、女のいちばん大切な
操
(
みさお
)
を切売りする女、この女は十両の金が欲しくはないのだろうか
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こう思うと、今まで上天の
境
(
きょう
)
に置いた美しい芳子は、
売女
(
ばいじょ
)
か何ぞのように思われて、その体は愚か、美しい態度も表情も卑しむ気になった。で、その夜は
悶
(
もだ
)
え悶えて
殆
(
ほとん
)
ど眠られなかった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
男のざんそを人前もなく
喋舌
(
しゃべ
)
り立てて、男が自分を
虐待
(
ぎゃくたい
)
して、ほかで馴染んだ
売女
(
ばいじょ
)
をひき入れようとしていることだの、この家が貧乏なために、自分が持ち物を売りつくして
貢
(
みつ
)
いだのと
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで母は女に盛装させ、その附近を徘徊させていたが、案の如く知事の目にとまり、
請
(
こ
)
われて結婚する迄に漕ぎつけた。その時知事からは千元贈ろうとしたが、母は自分の娘は
売女
(
ばいじょ
)
ではない。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これは
売女
(
ばいじょ
)
の
類
(
たぐい
)
だ。物を売ることにかこつけて、色を売らんとする女。よく温泉場などにあった種類の女——おれをそそのかしに来たのがおぞましい。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その当時、京の土地で公認の色町と認められているのは六条
柳町
(
やなぎちょう
)
の遊女屋ばかりで、その他の
祇園
(
ぎおん
)
、西石垣、縄手、五条坂、北野のたぐいは、すべて無免許の隠し
売女
(
ばいじょ
)
であった。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
慶三にはお千代の不始末が今となっては更に不潔にも不快にも思われなかった。却ってそれらの為めに一層恋しく思われた。お千代という女はよくよく
売女
(
ばいじょ
)
に出来上った女である。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
是は相手が正当でなかったから、即ち
売女
(
ばいじょ
)
であったからかというに、そうでない。相手は正当の新婦と相知る場合にも、人は大抵皆然うだと云う。殊に婦人が然うだという。何故だろう?
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
けれど、妹が
売女
(
ばいじょ
)
だなどという沙汰が、人に知られては外聞もわるし、この萱乃にも、つい初手に打ち明けかねて、近ごろになって、そう申しても、もう信じてもくれないのでございます。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうか、では道中は、別してまた色慾を慎まなければならぬ……道中には、
飯盛
(
めしもり
)
だの
売女
(
ばいじょ
)
だのというものがあって、そういうものには得て
湿毒
(
しつどく
)
というものがある」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お千代は玩弄物にされる事をば別に恥辱とも苦痛とも何とも思わぬ様子で、時には却て玩弄物にされるのを面白そうに嬉しがっているような風さえ見える。お千代は根からの
売女
(
ばいじょ
)
である。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
切通しの坂をのぼりきッた所で、このあたり
根生院
(
こんじょういん
)
の森と
棟梁
(
とうりょう
)
屋敷の
黒塀
(
くろべい
)
を見るほか、明りらしいものは、
湯島新地
(
ゆしましんち
)
の
大根畑
(
だいこんばたけ
)
の中にチラホラする隠し
売女
(
ばいじょ
)
の何軒かが数えられるに過ぎません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然るをなほも古き机の
抽斗
(
ひきだし
)
の底、雨漏る
押入
(
おしいれ
)
の片隅に、もしや
歓場
(
かんじょう
)
二十年の夢の跡、あちらこちらと遊び歩きし茶屋小屋の勘定書、さてはいづれお目もじの上とかく
売女
(
ばいじょ
)
が無心の手紙もあらばと
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
“売女”の意味
《名詞》
(ばいじょ、ばいた)売春婦。遊女。
(ばいた)身持ちの悪い女性。
(出典:Wiktionary)
売
常用漢字
小2
部首:⼠
7画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“売女”で始まる語句
売女奴
売女風情