士君子しくんし)” の例文
故に世上有志ゆうし士君子しくんしが、その郷里の事態をうれえてこれが処置を工夫くふうするときに当り、この小冊子もまた、或は考案の一助たるべし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ケダシ士君子しくんし万巻ばんかんヲ読破スルモマタすべかラク廟堂ニ登リ山川さんせんまじわり海内かいだい名流ニ結ブベシ。然ル後気局ききょく見解自然ニ濶大かつだいス、良友ノ琢磨たくまハ自然ニ精進せいしんス。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
法に従って彼らをばっせんか、おしむらくは彼らの中には有名の士君子しくんしが多く、かつこれらの人はごろ社会百般の事柄に力を尽し、世間の信用と敬愛とを受けている。法に従い罰するにしのびぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
但しこれは非常に甘美なもので、高級な士君子しくんしのものではない。
「それが甚だ具合が悪いんだ。士君子しくんしとして云いにくいんだ」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
或は経史けいしを読み或は兵書を講じ、騎馬きば槍剣そうけん、いずれもその時代に高尚こうしょうなづくる学芸に従事するが故に、おのずから品行も高尚にしていやしからず、士君子しくんしとして風致ふうちるべきもの多し。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ことさらに藩地徳望の士君子しくんしに求め、そのともに尽力して学校をさかんにせんことを願うなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)