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坊様
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ばうさま
お
前様湯治にござつて、
奥様の
行方が
知れなく
成つたは、つひ
此の
頃の
事ではねえだか、
坊様は
何処で
聞いて、
奥様の
言づけを
為たゞがの。
(
若い
坊様連れて
川へ
落つこちさつさるな。おら
此処に
眼張つて
待つ
居るに、)と
横様に
椽にのさり。
それ/\、
其の
坊様なら、
宵の
口に
私が
頼んで
四手場に
居て
貰ふたのぢや……、はあ、
其処へお
前様が
行逢はしつたの。はて、どうも、
妙智力、
旦那様と
私は
縁が
有るだね。
分つた、
分つたよ、
御坊。お
前様が、
仏でも
鬼でも、
魔物でも、
唯の
人間の
坊様でも
可え。