圧搾あっさく)” の例文
旧字:壓搾
「よし。それじゃ、やるよ。……圧搾あっさく空気送り方、用意。用意、よろしい。圧搾空気送り方、はじめ! はじめ! 傾度けいど四十五……」
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大津波おおつなみのうなる音、木のめりめりさける音、圧搾あっさくされた空気の爆発ばくはつする音、すさまじいうなり声がわたしたちをおびえさせた。
吸水紙は無論のこと、押板、圧搾あっさく用の鉄の螺旋器また無論大形の採集胴乱根掘り器などいろいろな必要器を持って行った。
若き日の思い出 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
第三句の字余りなどでもその破綻はたんを来さない微妙な点と、「風を時じみ」の如く圧搾あっさくした云い方と、結句の「つ」止めと
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
圧搾あっさくのために、白さが次第に減じて、氷粒になりかけて、普通の氷に見られるような透明な碧さをっている。
高山の雪 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
かねいきおいもないものが天下の士に恥じぬ事業を成すには筆の力に頼らねばならぬ。舌のたすけらねばならぬ。脳味噌のうみそ圧搾あっさくして利他りた智慧ちえしぼらねばならぬ。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その横では、不足な酒を作るがために、兵士たちは森からみとってきた黒松葉を圧搾あっさくして汁を作っていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
みイちゃんは婚礼したかどうかしらッ。市区改正はどれだけ捗取はかどったか、市街鉄道は架空蓄電式になったか、それとも空気圧搾あっさく式になったかしらッ。中央鉄道は聯絡したかしらッ。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
折角せっかく死んでも、それを食べてれる人もなし、可哀そうに、魚はみんなシャベルでかまになげまれ、煮えるとすくわれて、締木しめぎにかけて圧搾あっさくされる。釜に残った油の分は魚油です。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
脂肪が圧搾あっさくされて、肋骨の装飾が現れた。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
まず酸素不足などを補うために、特別製の圧搾あっさく空気をつめたそうから空気を送って呼吸しなければならぬ。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ねがわくはこの義務の束縛をまぬかれて早く自由になりたい、人からいられてやむをえずする仕事はできるだけ分量を圧搾あっさくして手軽に済ましたいという根性が常に胸のうちにつけまとっている。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに上の方も順じて調子がやはり重く圧搾あっさくされているが、全体としては進行的な調子で、労働歌の一種と感ずることが出来る。恐らく足柄山中の樵夫きこりなどの間に行われたものであっただろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
はっきりわからないけれど、こっちにあるのは、電気を起す機械だし、それからまたあそこにあるのは、どう考えても圧搾あっさく空気を入れるいれものだねえ。そのほかいろいろなものがある。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから圧搾あっさく空気が、いっしょにはいりこんだ海水を外へ吹きとばす。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)